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好きに話したいときに。前向き後ろ向きは問わない。

好きな本について 伊坂幸太郎「砂漠」

ここ数日、久しぶりに本を読むようになった。

なんでここ最近読書するようになったかというと、ぶっちゃけ現実逃避を求めているからと言われたら全く否定できない。まああとYouTube見るんだったら読書の方が有意義じゃんと思ったのもある。けどまあ動機は正直どうでも良い。

好きな本は何冊かあるけど、1番好きな本は、と聞かれたら、間違いなく伊坂幸太郎の「砂漠」を挙げるだろう。 

砂漠 (新潮文庫)

砂漠 (新潮文庫)

 

新潮文庫のこのカバーのが1番好き。 

その本に出会ったのは高校生の頃。何年生かは覚えていない。その頃本を買う場と言ったら、駅ビルに2つある書店のどちらかだろうし、多分そのどちらかで購入したんだろう。

伊坂幸太郎の作品は、その前に「夜の国のクーパー」を読んでいて、確かこれで2冊目かといった感じだった。「砂漠」の粗筋を説明すると、大学生5人の、ありそうでありえない大学生活を描いた青春小説…かな?ジャンルを名状し難い。「青春小説」が1番しっくりくる。

なんでここまで好きなのか理由を考えると、1つには伊坂幸太郎特有の素晴らしい伏線回収がある。他の作品でもいくつも素晴らしいものはあるが、この作品の伏線回収の仕方が個人的にめちゃくちゃハマった。予想もつかない場面が上手く伏線になっていて、読んだ時に、主人公の脳裏に浮かんだだろう思い出=伏線が自分の脳裏に浮かんだかのように錯覚した。詳しく言うとどうしてもネタバレになってしまうのでこれ以上は言わないが。

もうひとつ理由を挙げるとすると、非常にアレな言い方だが、「こんな大学生活を過ごしてみたかった」っていうのもあるのかもしれない。…もちろん自分の大学生活に後悔は(少なくとも学業とか自分のだらしなさとか某ウイルスで今最悪な状況であること以外には)全然ないけど、この作品の中の青春は、直視出来ないほど眩しいものではないけど、憧れるようなものだった。多分初読が高校生の頃だったのも要因の1つだろう…。あの頃の自分は、多分間違いなく、「こんな大学送りたい」と思っていたはず。…少し暗い方向に進みそうだからこの辺でやめとこう。

もういっこだけ、じゃっっっっかんネタバレに近い性質になってしまうのが残念だけど、どうしても書いておきたいので。

 

 

後悔しませんね?(致命的なものではないから折角なら読んでほしい…。)

 

 

作中、主人公が、あり得そうな望ましい未来に思いを馳せ、直後に、「なんてことは、まるでない。」と締め括るシーンが何箇所かある。個人的な解釈なのだが、この「なんてことは、まるでない。」は望ましい未来を打ち消すような使われ方をしている。しかし、作中1箇所だけこのフレーズが前向きなニュアンスで使われている箇所がある。何度も同じフレーズを出していてからの、そのフレーズは「ココでそう使うか〜」と思わず唸ってしまうくらい秀逸だった。読んでみればきっとこの感情には共感してもらえると思う。フレーズにネガティヴな印象を植えつけて、ソレを覆す1回。グッときた。

最後になるが、実はこの本、今手元にない。なんなら大学生活中1度も読んでないし手元にない。なんでかって?…まあその辺は紆余曲折ってことで。ちゃんと手元に戻ってくるか、改めて買い直すか。いずれにしても大学卒業直前になったら絶対に読み返そうと思っている。その時の自分がどうなってるかは知らないが、卒業前に1度読み返せたら、満足できる気がする。

何か書きたい気分でつらつら書いたけどまあまあ長くなったなあ。推敲とかも全然してないからアレな文章だろうけど。

伊坂幸太郎の「砂漠」。めちゃくちゃ良い作品なので、書店で見かけたら1度手に取ってみてほしい。

 

本について少し話したいだけだったけど、いつ買ったんだっけなとか、なんで好きなのかなとか色々考えるの、結構好きな時間かもしれない。いつ買ったって部分は昔に縋りたい気分だからかもしれないけど…。